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日本の近海に生息するズワイガニは水揚げされる地域によって、越前ガニや松葉ガニなどにブランド化され、高値が付けられています。
漁獲量の減少への懸念もあり、現在では、日本で流通するほとんどのズワイガニやタラバガニは、ロシアやカナダからの輸入に頼っています。
旅館や料亭はもちろん、かに通販サイトで販売されているかには、ほぼ海外からの仕入れルートです。
世界中の漁場でかにの買い付けをし、仕入れているのがバイヤー。
かにが年々高騰する本当の理由や、かにを賢く買う方法などを凄腕バイヤーに教わります。
2018年11月6日、日本海のズワイガニ漁が解禁の日に、朝日新聞に「ズワイガニ少子化 危機」「3年後に半減の予測」の見出しが第1面を飾りました。
記事は、稚ガニの数が過去20年間で最低を記録し、3年後の漁獲量は今年の半分程度まで激減するという内容でした。
これでは、今でも高価なカニがますます手の届かない高根の花になってしまう恐れがあります。
この道30年のベテランバイヤーに話を伺ったところ、
「確かに、日本近海のかにの数は減っている」と。
しかし、その一方、世界の好漁場とされているロシアの海域では、かにの個体数が減少しているのかと言えば、 「そうでもない」と言い切ります。
かにが棲息するところは、緯度でいえば、日本の山陰地方くらいから北の海域です。
松葉ガニや越前ガニが獲れるところです。もう少し北の韓国までいけばタラバガニがいる海域ですが、昔からの獲り過ぎのために今はいなくなったとのこと。
現在、好漁場とされているのがオホーツク海やベーリング海などです。
ロシアでは、共産主義が長く続いたソ連時代に、かに漁の開発が遅れてしまい、それが結果的に自然保護となり、かにの乱獲がまぬがれたそうです。
個体数が減らずにそれなりの漁獲量が確保されているのも、そのためです。
日本近郊のかに漁が激減していく中で、オホーツク海やベーリング海では、漁獲制限を設け、成長した身入りのいいズワイガニやタラバガニを漁獲。
実際のかに漁では、成長度合いを計りながら3匹に2匹は海に帰す資源保護の対策が採られています。
世界的規模で、乱獲による不法漁獲が厳しく禁じられていますが、かつてロシアでは、 2000年から2014年まで、密漁や密輸出量を見逃していた時期がありました。
たとえば、中積み船といって、かにの漁場まで運搬船が取りに行っており、どれだけ漁獲したか分からなかったのです。
2014年12月にロシアと日本間で「水産物の密漁・密輸出対策に対する協定」が発効され、現在では、政府が承認した枠で獲ったことが証明されなければ、輸入させないということになりました。正規ルートだけの仕入れになったのです。
これは喜ばしいことなのですが、ただ、ロシア漁船の日本への寄港が許されなかったために、仕入れルートが変わり、ロシアから日本への輸入量は約10分の1まで減少したのです。これでは当然、日本国内のかにの価格は上昇するわけです。
しかし、かにの価格が上昇しているのは、かにの漁獲量とはまた別の事情があったのです。
ロシアから日本への輸入量が減少したのは、密漁・密輸出が禁止され、仕入れルートが変わったからだけではなかったのです。
実は、世界中で大勢の人たちがかにを食べるようになったからです。
2000年頃までは、日本が一番のかにの消費国でした。バブルが崩壊した頃から、アメリカでよく食べられるようになり、近年は東南アジア、特に中国での消費が急増してきています。現在、ロシアで獲れたかにの半分以上は中国に輸出されています。
なぜ、中国人がそんなにかにを食べるようになったかといえば、日本への中国人観光客が起因しています。
日本へ来て、初めて日本のかに料理と出会い、美味しさに感動し、その味を覚えて帰った人たちが、中国でのかに人気に影響を与えていったようです。
また世界に広がっている日本食人気もかにの需要を後押ししているのかもしれません。
日本国内のかに漁獲量は減り、そして海外からの輸入量も減少していますが、かつては世界一のかに消費国として腕を鳴らした敏腕バイヤーならただ指をくわえて見ている訳にはいきません。
世界中で新たな仕入れルートを開拓し、目利きした高品質のズワイガニやタラバガニを低価格で買い付け、日本国内へ仕入れています。
その結果、獲れたてのかにが、中間業者を入れずにネット通販でも安く注文できるようになりました。
かにの宝庫であるオホーツク海やベーリング海、カナダ東部沖などで獲れる最高級のかにが一般家庭でも味わえるようになったのです。
まさに災い転じて福となす。
数に限りが出るようになったからこそ、自宅で美味しいかにを味わうならば凄腕のベテランバイヤーがいるかに通販会社が狙い目。
高品質のかにを安心して購入するには、ベテランバイヤーが存在するか否か通販サイトを要チェックですね。
中国からのインバウンドによって、日本への経済的影響が大きいようですが、中国にも食の文化的影響をもたらしているようです。
人口約13億人の中国人が、今まで食べなかったものを食するようになると、世界の食物生産の構図が大きく変わります。
かにも、マグロのように養殖ができないでしょうか?
かに事情に詳しいベテランバイヤーは、「現時点ではかにの養殖はコストが合わない」と言います。
買い付けたロシア産のかになら売値が1kg5,000円か6,000円でも、もし養殖したかになら数万円で売らないと元が取れないとか…
そうなると食べたくても食べられない!
そんなことにならない為にもこれからも美味しいかにを安く届けてください。頑張れ、敏腕バイヤー!
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