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年が明けて、シーズン真っ盛りのかに料理ですが、さて、かにの美味しさは、何で決まると思いますか?
鮮度? 繊維質の柔らかさ? 身入りの良さ? それとも冷凍技術でしょうか?
どれも美味しさにとって重要な要素です。
しかし、実際に美味しさを左右しているのは「解凍」なのです。
最終工程の解凍方法を間違えたばかりに、せっかくの美味しいかにも、すべて水の泡になりかねません。
かにの漁獲から冷凍、加工・管理、そして配送まではそれぞれのプロが請け負います。
ですから、自宅に届いた段階では完璧な状態です。
あとは冷凍したかにを説明書通りに解凍するだけ。
解凍を託された人にとっては少しばかりプレッシャーがかかる作業でもありますが、ここを無事にクリアさえすれば、念願の美味しいカニ料理が待っています。
そのために、今一度、正しい解凍方法を身に付けましょう。
ロシア海域やカナダ海域の漁場で水揚げされたかには、ほとんどが冷凍して遠く日本まで輸送されます。
そこで重要になってくるのが冷凍の能力です。
マイナス30度以下に急速凍結させることで、鮮度を閉じ込めてしまうのです。
緩慢に凍結してしまうと、身の間に氷結が発生し、繊維質へダメージを与え、かにの旨味や食感が失われてしまいます。
一気に凍結することにより、繊維質へのダメージを最小限に抑えることができるのです。
さらにもう一段階、凍結したかにの表面に氷の膜を張ります。
これを「グレーズ」といって、冷凍中のかにが乾燥しないようにコーティングしておく作業です。
乾燥によって、身がパサパサになったり、風味を損なわないようにするのです。
このようにして各家庭に届けられた冷凍かには、水揚げされた状態をほぼ維持できているといってもいいでしょう。
かにの鮮度や旨みを閉じ込めた凍結状態を、どのように解凍すれば急速凍結する前の状態に戻すことができるでしょうか?
冷凍かにには、「甲羅付きのもの」と「足だけに加工したもの」があります。
足だけのものの中にも、「殻付き」と、殻が外してある「ポーション」があります。
解凍方法で気をつけたいのは、どの状態で加工された冷凍かにかということです。
甲羅付きのものとポーションでは、身に熱の入り方が違うので、当然ながら解凍の仕方も違ってきます。
一番やってはいけないのは、電子レンジを使った解凍法です。
電子レンジによる急速な解凍は細胞へのダメージが大きく、旨みエキスが抜けてしまいます。
甲羅付きの姿かにを解凍する場合は、冷蔵庫に入れて、1日から1日半かけてゆっくりと解凍するのが一番安心・安全です。
低温で時間を掛けて少しずつ解凍されることにより、かにの旨味成分を逃がすこともなく上手く解凍することができます。
でも、冷蔵庫へ入れ忘れたりすると、風味が落ちて、せっかくの美味しいかにがまずくなってしまう恐れがあります。
その点、冷凍かにの中でも簡単に解凍できるのが、殻をカットした「カット済み」や「ポーション」と呼ばれるむき身です。
これらにおすすめの解凍方法は、冷蔵庫でじっくりではなく、流水を使って素早く解凍する方法です。
むしろ解凍にあまり時間をかけ過ぎると身が酸化しやすくなるのです。
「カット済み」や「ポーション」なら、食べる直前で解凍することができて、プリプリでジューシーな身をお刺身で味わうことだってできるのです。
甲羅付きの姿かにの場合も、当然のことながら輸送されてきた梱包箱の中には、解凍方法などの注意書きがあるはずです。
解凍は我流では行わず、そのかにに合った最適な方法にしたがってください。
食べきれる分を取り出し、グレーズと呼ばれる表面の氷の膜を流水でやさしく洗い流します。
※食べたい分だけ解凍すること。
解凍したものを再冷凍すると、身がパサパサになり美味しさが損なわれます。
水気を取った後、常温(20~25度)で30分~1時間ほど自然解凍します。
※解凍時のドリップは取り除いてください。
表面の弾力ができる「半解凍」状態になれば、食べごろです。
解凍スピードを速めるために、湯せんはやめましょう。
特にお刺身で食べるかにを湯せんしてしまうと美味しくありません。
冷たいままにして、美味しく召し上がりましょう。
通販会社から届けられる冷凍かには、主に生タイプとボイルタイプがあります。
生タイプとは生をそのまま冷凍したもので、加熱用とお刺身用があります。
生ズワイガニを鍋に入れる時には、多少凍っていても大丈夫。味は変わらないそうです。
お刺身の場合は、半解凍状態の後、さらに5分くらい時間を置けばちょうど芯が溶けて、かに本来の甘みが楽しめます。
かには加熱しすぎると味が抜けてしまうので、よく火が通るお鍋料理は生タイプがおすすめです。
ボイルタイプとは、水揚げ後すぐにボイルしたかにを冷凍したもの。
ロシアの船では、オホーツクの海水を使ってボイルするそうです。
解凍すれば塩味が最初からついているので、そのまま食べても、焼いて食べても、しっかりとした味がついています。
生タイプかボイルタイプか、どちらがいいと言うことではありません。
お好みや料理に合わせて、上手に選び、使い分けてください。
ゴルフのレッスンを思い浮かべてください。
最初はアドレス(構え)から始まります。
正しいアドレスをして、レッスン通りに元のアドレス状態にクラブを振り下ろすことができれば、ボールは正しい方向に飛んでいってくれるはずです。
かにの解凍方法も同じように考えればいいのです。
正しい冷凍方法があり、解凍する時は説明書に従って元の冷凍前に戻すだけで、旨みを逃がすことなく、確実に美味しく召し上がれます。
美味しさへの解答は、まさに「解凍に有り」ですね。
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